世界遺産「開平楼閣と村落」馬降龍村落群を歩く【2025中国の旅 #8】

錦江里からタクシーで、百合鎮の馬降龍(ばこうりゅう)村落群へやって来ました。
ここも世界遺産「開平碉楼(ちょうろう)と村落」を構成する村落の一つです。

馬降龍_世界遺産ロゴ

錦江里で購入した共通チケットが利用できるため、入口でチケットを提示して村内へ。
入口近くには世界遺産のモニュメントが設置されていたので、まずは記念に写真を撮ってから集落へ向かいます。

馬降龍_天禄楼_外観

まず向かったのは、馬降龍を代表する碉楼の一つ「天禄楼(てんろくろう)」です。
1925年に村の黄氏一族29戸が共同で資金を出し合って建設した碉楼で、防御機能を備えた典型的な「衆楼(しゅうろう)」とされています。

小さな窓が規則正しく並ぶ外観は、いかにも防衛施設らしい造りです。
一方、最上階には西洋建築を思わせるアーチが設けられており、実用性の中にも華やかさを感じさせます。

内部も見学できるのかと思い、入口まで足を運んでみましたが、この日はあいにくドアが閉まっていて、中へ入ることはできませんでした。
残念でしたが、間近で見上げる天禄楼は迫力十分。
その堂々とした姿が強く印象に残りました。

馬降龍_駿廬_外観

続いて訪れたのが「駿廬(しゅんろ)」です。
1936年にカナダから帰郷した華僑によって建てられた碉楼で、天禄楼とはまた異なる趣を持っています。

外観は、防衛を意識した小さな窓が規則正しく並ぶ重厚な造り。
しかし、最上階を見上げると、西洋建築を思わせる優雅なアーチが設けられており、中西折衷ならではの美しさが印象的でした。

馬降龍_駿廬_内部1
馬降龍_駿廬_内部2
馬降龍_駿廬_内部3
馬降龍_駿廬_内部4

駿廬の魅力は、世界遺産の碉楼の内部を実際に見学できることです。
建物の中には、当時使われていた洋風の家具やレトロなタイル、調度品、そして家族写真などが残されており、1930年代の暮らしぶりが今も感じられます。
当時ここで暮らしていた人々の生活に思いを馳せながら、内部を見学しました。

馬降龍_駿廬_屋上からの眺め1
馬降龍_駿廬_屋上からの眺め2

最上階のテラスへ出ると、視界が一気に開けました。
先ほど下から見上げた洋風のアーチを間近に眺めながら、その先に広がっていたのは、青い空と竹林、果樹園に囲まれた馬降龍村落群の穏やかな風景。
碉楼の上から眺める景色は、また格別でした。

馬降龍_昌廬_外観

駿廬を後にし、続いて足を運んだのが「昌廬(しょうろ)」です。
先ほど訪れた駿廬と同じく1936年に建てられたもので、こちらもカナダから帰国した華僑による4階建ての別荘(廬)です。

外観を見上げて思わず目を奪われたのが、窓まわりや壁面に施された装飾の美しさ。
バロック調の優雅なアーチやローマ風の円柱、精巧な浮き彫り(レリーフ)がコンクリートの壁を華やかに彩り、まるでヨーロッパの邸宅のような気品が漂っています。
窓には防衛のための頑丈な鉄格子がはめ込まれていますが、実用性だけではない、当時の主の美意識やこだわりが細部からも伝わってきました。
残念ながら内部に入ることはできず、今回は外観からその美しい姿を眺めるだけとなりました。

馬降龍_保障楼_外観

次に向かったのが、1925年に慶臨村の村民が共同出資して建てた「保障楼(ほしょうろう)」です。
最上階に優雅な洋風アーチを持つ天禄楼や駿廬、そして先ほどの昌廬とは異なり、こちらは徹底的に防御を意識した武骨な造りが特徴です。

全体的に窓が少なく、1メートルにも満たない狭い正門や、各階に設けられた射撃孔など、かつてこの地を襲った馬賊の脅威を今に伝えています。
まさに「戦うための砦」といった佇まいです。
ここも残念ながら内部には入れず、外観のみの見学となりました。

馬降龍_林廬_外観

そして最後に立ち寄ったのが「林廬(りんろ)」です。
こちらは門が開いており、内部も見学することができました。
林廬も1936年に建てられた4階建ての別荘ですが、カナダ華僑による昌廬とは異なり、メキシコに渡ってデパート経営で成功した華僑によって築かれたという歴史を持っています。

コンクリートの落ち着いた色調の中に、ピンクを基調とした鮮やかな窓枠の装飾が美しく映え、独自の気品と華やかさを放っていました。
最上階のテラス部分に施された、ヨーロッパの宮殿を思わせる立体的なレリーフも見応えがあります。

馬降龍_林廬_内部1
馬降龍_林廬_内部2
馬降龍_林廬_内部3
馬降龍_林廬_内部4
馬降龍_林廬_内部5
馬降龍_林廬_内部6

建物の中に入ると、駿廬とはまた違った調度品や、住人と思われる人々の写真などが残されていました。
当時の暮らしの面影から、メキシコで成功を収めた家主の華やかな暮らしぶりを想像しながら見学しました。

馬降龍_林廬_屋上からの眺め

最上階のテラスからは、集落を包み込むような圧倒的な竹林の緑を眺めることができました。

これで馬降龍の見学は終了です。

最初に訪れた錦江里では、瑞石楼をはじめとする碉楼が、開けた田園地帯に堂々と建ち並んでいました。
一方、ここ馬降龍では、竹林や果樹林に囲まれた自然豊かな風景の中に碉楼が点在しています。
碉楼そのものだけでなく、のどかな農村風景との調和も魅力の一つです。
最初に訪れた錦江里が「開けた田園にそびえ立つ碉楼」なら、ここ馬降龍は「深い緑の森にそっと守られた碉楼」。
青々と茂る竹林を抜ける風の音や、のどかな農村の日常の中に、中西折衷の華やかな建築が驚くほど自然に溶け込んでいます。

今日の見学は「錦江里」と「馬降龍」で終了です。
共通チケットの有効期間は2日間なので、明日は残りの「自力村」と「三門里」を巡りたいと思います。

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